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レソトの介護・福祉制度
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レソトは2024年時点で人口234万人、 そのうち65歳以上が3.9%、75歳以上が1.3%を占めます。
六十歳からが高齢者、年金は七十歳から
レソトが高齢者と呼ぶのは60歳以上の人。 アフリカ大陸で広く使われている区切りに合わせたもので、 国連も同じ年齢を採っている。 高齢者政策はその理由を、65歳を境とする先進国の考え方が アフリカの実情に合わないからだと説明している。 国内でこの年齢に当たる人は人口の約8パーセント。 政策文書のなかには「およそ15万人」という数字と 「約16万人」という数字の両方が出てくる。 高齢者はレソトでもっとも速く増えている年齢層で、 以前よりも長く生きるようになっている。 現金が届くのは、そこから10年遅い70歳から。 2004年11月、政府は10年前に立てた約束を果たし、 70歳以上の高齢者に拠出を求めない年金を導入した。 掛金を納めていなくても、年齢に達すれば権利として受け取れる。 政策文書が書かれた時点で、その額は月500マロティ、約48米ドル。 政府はこれを、国連が後発開発途上国に数える国のなかで 高齢の市民に権利として国家の年金を出している数少ない例、 アフリカでは唯一の後発開発途上国、世界でも二番目だと記している。 議会での法案審議では、党派を問わず支持が集まったという。
五つの現金給付と、無料という原則
社会開発省が配っている現金の給付は五つ。 老齢年金、公的扶助、子ども給付事業、障害給付、 そして孤児と弱い立場に置かれた子どもへの奨学金。 求められる書類はそれぞれ違う。 老齢年金は国民身分証明書だけでよく、支払いは毎月。 公的扶助は国民身分証明書と診断書で、支払いは四半期ごと。 子ども給付事業は国民身分証明書と、 認証を受けた出生証明書および死亡証明書の写し。 障害給付は診断書、出産の証明書、 親または保護者の国民身分証明書。この二つも四半期ごと。 奨学金は親または保護者の国民身分証明書と申請書で、 学期の途中に渡される。 現金ではない形の公的扶助もあり、 食料の包みから、緊急に要るもの、物資の支援、 そして補助器具までが含まれる。 この省が提供するサービスは、すべて無料。 サービス憲章はそれを見出しにして掲げたうえで、 利用する人の側の権利も並べている。 自分に応対する職員の名前を知ること。 権利と暮らしを守るためのサービスを申請すること。 責任と経験のある職員から、敬意のある偏りのない扱いを受けること。 自分の件がどう扱われているかを見て、あとを追うことを認められること。
お金のほかに、高齢の人へ届けられているもの
高齢者向けのサービスとして省が挙げているものは、 現金の給付だけにとどまらない。 健康を保つための働きかけ、心のありようを支える手助け、 そして家まで出向いて手伝うホームヘルプ。 認知症のケアも独立した項目として並んでいる。 虐待などから守るための保護のサービス、 支え合う集まりの立ち上げ、 楽しみのための集まりの立ち上げも省の仕事に入る。 現金と現物の両方による公的扶助、 安全な場所への入所、必要な機関への引き継ぎ、 そして高齢者の権利についての啓発が続く。 障害のある人に向けては、地域に根ざしたリハビリテーション、 暮らしと稼ぎのための技能を身につける手助け、 心のありようを支える手助け、そして補助器具の提供がある。 権利と差別の禁止についての啓発も同じ枠に入っている。 高齢者、困窮している人、障害のある人などを 安全な場所へ移すにあたっては、 省が健康の評価を受けられるよう取り計らう。 高齢者政策は、目指すところを分野ごとに分けて述べている。 経済の面では暮らしの安定を、健康の面では質の高い医療への到達を。 心の健康については、加齢にともなう問題への理解を広めることと、 認知症などを理由とする偏見を防ぐことを掲げている。 栄養、家族と地域の支え、そして 高齢者が使いやすい建物と交通の設計も並んでいる。
施設の基準と、待たせる時間の約束
高齢者の介護施設については、ケア基準がまとめられている。 ただしこの文書は全ページに二〇一五年三月二十五日付の草案と入っており、 確定したものではない。 基準は四つに分かれ、第一が管理の仕組みと職員配置、 第二が個人と健康のケアにあてられている。 第一の基準が掲げる原則は、 入居者と家族と職員と関係者の必要に応え、 施設を取り巻く環境の変化にも応える管理の仕組みを置くこと。 そこから、質の高いケア、絶えず良くしていく努力、 法令や規則を守るための仕組み、 そして職員が役割を果たすための知識と技能が導かれる。 それぞれの施設は、省の支えを受けながら、 この基準に沿った自前の運用の手引きを作ることが求められる。 基準の文書には視察の記録も載っている。 マゼノッドの施設は1994年から運営され、 かつては定員の60人がすべて埋まっていた。 それが2004年に老齢年金が始まったあと15人まで減った。 現金が手に入れば家で暮らし続けられる、という変化が読み取れる。 この施設は定員に応じた年ごとの補助金を省から受けている。 待たせる時間についても、サービス憲章が約束を置いている。 別の機関への引き継ぎは一週間以内。 無料でサービスを受けるための免除状の発行は48時間以内。 苦情の処理と世帯の情報の更新は、件の複雑さによるが三か月以内。 省の事務所は全国10県すべてに置かれ、 地方の議会の事務所のなかにも窓口がある。 無料でかけられる電話が二種類あり、 一つは子どもへの虐待を知らせるための番号、 もう一つは祖父母の年金について説明を受けるための番号。 社会扶助のための全国情報システムは2010年に立ち上げられ、 給付を届ける先を絞り込むための土台になっている。
- レソト高齢者政策(Lesotho Policy for Older Persons)/レソト 社会開発省(英語)
- 高齢者介護施設のケア基準(Standards of Care for Aged Care Facilities、2015年3月25日草案)/レソト 社会開発省(英語)
- サービス憲章(Service Charter、2021年4月16日改訂)/レソト 社会開発省(英語・セソト語)
- 社会扶助のための全国情報システム(NISSA)/レソト 社会開発省(英語)
- 文書の一覧(Documents)/レソト 社会開発省(英語)
- 第二次全国社会保護戦略(National Social Protection Strategy II)/レソト 社会開発省(英語)
この国の人口と寿命
日本と比べる
| 項目 | レソト | 日本 |
|---|---|---|
| 65歳以上の割合 | 3.9% | 29.8% |
| 75歳以上の割合 | 1.3% | 17.2% |
| 平均寿命 | 57.8歳 | 84.9歳 |
| 65歳時点の平均余命 | 12.9年 | 22.6年 |
日本は、介護にかかるお金を保険でまかなう国です。40歳になった月から全員が保険料を払い、65歳以上になると原因を問わず、40歳から64歳までは老化にともなう決められた病気にあたるときに使えます。運営しているのは市町村と特別区で、国ではありません。
使ったサービスの費用のうち、本人が払うのは原則1割です(所得が高い人は2割・3割)。残りは保険から出ます。介護そのものを現金で受け取るしくみは無く、給付されるのはサービスです。
日本の介護制度の解説は、姉妹サイト「介護の窓口」にあります。どちらも株式会社京谷商会が運営しています。
- 世界の介護制度と日本の違い/保険でまかなう国・税でまかなう国・自助を軸にする国の分かれ方
- 介護保険とは?/日本の介護保険のしくみ。誰が払い、誰が使えるか
- 介護保険の自己負担割合/1割・2割・3割の分かれ目と、上限のしくみ
ほかの国の介護・福祉制度
このページは国連加盟193か国ぶんあります。レソトに近いところから並べました。「未」が付いている国は、まだその国の言葉の一次資料にあたれていないので、 制度の本文がありません。
南部アフリカ4か国
アフリカのほか49か国
ほかの地域も開く(139か国)
アジア47か国
アメリカ大陸33か国
オセアニア14か国
ヨーロッパ43か国
北アメリカ2か国
- United Nations, World Population Prospects 2024(国連経済社会局人口部。中位推計)
- 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)(デジタル庁 e-Gov 法令検索。第3条・第9条・第41条)