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スペインの介護・福祉制度
公開 最終更新
スペインは2024年時点で人口4,791万人、 そのうち65歳以上が21.1%、75歳以上が10.5%を占めます。
2006年に、依存を権利として認めた
スペインは2006年の法律(Ley 39/2006)で、 介護を必要とする状態(dependencia)にある人が 支援を受ける権利を持つと定めました。 恩恵として与えるのではなく請求できる権利にした、というのがこの法律の眼目です。 これに基づいて自律と依存への対応のための制度(SAAD)が作られ、 国が枠組みと最低限の水準を決め、17の自治州が実施を担う形になりました。
依存の度合いを3段階で測る
申請すると、日常生活の動作をどれだけ自分でできるかを共通の尺度で評価し、 中等度、重度、極めて重度の3段階に分けられます。 段階ごとに受けられるサービスの範囲と公費の額が決まります。 判定のあと、本人と相談して個別のケア計画(PIA)が作られます。 在宅援助、通所、施設、遠隔見守りといったサービスから組み立てる建前です。
現金給付が、例外のはずが主役になった
法律はサービスの現物給付を原則とし、 家族が介護する場合の現金給付は例外的な位置づけにしていました。 ところが実際には、サービスの整備が追いつかない地域で現金給付が多用され、 制度全体でも大きな割合を占めるようになりました。 家族介護者は社会保険に特別加入する仕組みが用意されましたが、 財政難のときに国の負担が打ち切られ、のちに復活するという経緯をたどっています。
待機の列と、地域差
制度の最大の問題として繰り返し指摘されるのが、 判定を受けてから実際に支援が始まるまでの待機です。 権利が認められているのに給付が始まらないまま亡くなる人がいることが、 毎年の統計で示されています。 財源は国と自治州が分け合いますが、州の財政力に差があるため、 同じ段階と判定されても住む場所で受けられる中身が変わります。
- Ley 39/2006, de Promoción de la Autonomía Personal y Atención a las personas en situación de dependencia/スペイン官報 BOE(スペイン語)
- Autonomía Personal y Dependencia/スペイン高齢者社会サービス機構 IMSERSO(スペイン語)
この国の人口と寿命
日本と比べる
| 項目 | スペイン | 日本 |
|---|---|---|
| 65歳以上の割合 | 21.1% | 29.8% |
| 75歳以上の割合 | 10.5% | 17.2% |
| 平均寿命 | 83.8歳 | 84.9歳 |
| 65歳時点の平均余命 | 21.6年 | 22.6年 |
日本は、介護にかかるお金を保険でまかなう国です。40歳になった月から全員が保険料を払い、65歳以上になると原因を問わず、40歳から64歳までは老化にともなう決められた病気にあたるときに使えます。運営しているのは市町村と特別区で、国ではありません。
使ったサービスの費用のうち、本人が払うのは原則1割です(所得が高い人は2割・3割)。残りは保険から出ます。介護そのものを現金で受け取るしくみは無く、給付されるのはサービスです。
日本の介護制度の解説は、姉妹サイト「介護の窓口」にあります。どちらも株式会社京谷商会が運営しています。
- 世界の介護制度と日本の違い/保険でまかなう国・税でまかなう国・自助を軸にする国の分かれ方
- 介護保険とは?/日本の介護保険のしくみ。誰が払い、誰が使えるか
- 介護保険の自己負担割合/1割・2割・3割の分かれ目と、上限のしくみ
ほかの国の介護・福祉制度
このページは国連加盟193か国ぶんあります。スペインに近いところから並べました。「未」が付いている国は、まだその国の言葉の一次資料にあたれていないので、 制度の本文がありません。
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- United Nations, World Population Prospects 2024(国連経済社会局人口部。中位推計)
- 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)(デジタル庁 e-Gov 法令検索。第3条・第9条・第41条)