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イギリスの介護・福祉制度

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イギリスは2024年時点で人口6,914万人、 そのうち65歳以上が19.5%、75歳以上が9.6%を占めます。

医療はただ、介護は資産を見られる

イギリスの医療はNHSが税で賄い、窓口で払うことはほとんどありません。 ところが高齢者の介護(ソーシャルケア)はNHSの外に置かれていて、 こちらは資産と所得を調べたうえで自己負担が決まります。 同じ人の同じ暮らしが、医療の線を跨いだ途端に無料から有料に変わる。 この段差がイギリスの介護をめぐる議論の中心にあり続けています。 ケアの必要度は自治体が評価し、費用の払い手は資産の額で決まります。 イングランドでは資産が一定額を超えると全額が自己負担になり、 その線引きの額は長く据え置かれてきました。 自宅を売って介護費に充てる人が出ることから、 生涯の負担に上限を設ける改革が繰り返し立案されましたが、 施行の延期を重ねたのち2024年に取りやめになりました。

ケア法2014が、自治体の責任を書き直した

イングランドの土台はケア法2014(Care Act 2014)です。 それまで断片的だった法律をひとつにまとめ、 自治体に「その人の幸福(wellbeing)を促す」という一般的な義務を負わせました。 支援を受けたい人は、まず自治体にニーズ評価(needs assessment)を申し込みます。 これは資産の多寡に関わらず誰でも受けられます。 評価で一定の基準に当てはまると自治体に手当てをする義務が生じ、 そのうえで別に資力評価(financial assessment)が行われて負担額が決まります。 介護している家族の側にも、自分自身のための評価を受ける権利があります。

お金で受け取って、自分で組み立てる

支援は自治体が手配したサービスとして受けることも、 現金(direct payments)で受け取って自分で使い先を選ぶこともできます。 自分で介助者を雇う人もいます。 自治体は本人ごとの予算(personal budget)を示し、その範囲で組み立てる形が広まりました。 家族が介護する場合には、就労や収入の条件を満たすとケアラー手当(Carer's Allowance)が出ます。 額は小さく、介護に費やす時間に見合うものではないという批判が続いています。

4つの地域で、制度が違う

イギリスはひとつの国に見えて、介護についてはイングランド、スコットランド、ウェールズ、 北アイルランドがそれぞれ別の制度を持っています。 なかでもスコットランドは2002年から、身体の介助にあたる部分(personal care)を 資力に関わらず無料にしました。のちに年齢の下限も外れています。 同じ状態の人がイングランドでは負担し、スコットランドでは負担しない。 この差はイギリス国内でしばしば比較の的になります。 事業者の質は、イングランドではケア品質委員会(CQC)が登録と検査を担っています。 検査結果は公表され、住まいを選ぶときの手がかりになっています。

この記述の出どころ
  1. Social care and support guide/NHS(国民保健サービス)(英語)
  2. Care Act 2014/英国法令データベース(英語)
  3. Apply for a needs assessment by social services/英国政府 GOV.UK(英語)
  4. Care Quality Commission/ケア品質委員会(英語)

この国の人口と寿命

65歳以上の割合19.5%
75歳以上の割合9.6%
平均寿命81.4
65歳時点の平均余命20.1

イギリスの年齢別人口イギリスの平均寿命

日本と比べる

項目イギリス日本
65歳以上の割合19.5%29.8%
75歳以上の割合9.6%17.2%
平均寿命81.4歳84.9歳
65歳時点の平均余命20.1年22.6年
国連人口部 World Population Prospects 2024(中位推計)より

日本は、介護にかかるお金を保険でまかなう国です。40歳になった月から全員が保険料を払い、65歳以上になると原因を問わず、40歳から64歳までは老化にともなう決められた病気にあたるときに使えます。運営しているのは市町村と特別区で、国ではありません。

使ったサービスの費用のうち、本人が払うのは原則1割です(所得が高い人は2割・3割)。残りは保険から出ます。介護そのものを現金で受け取るしくみは無く、給付されるのはサービスです。

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日本の介護制度の解説は、姉妹サイト「介護の窓口」にあります。どちらも株式会社京谷商会が運営しています。

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出典
  1. United Nations, World Population Prospects 2024(国連経済社会局人口部。中位推計)
  2. 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)(デジタル庁 e-Gov 法令検索。第3条・第9条・第41条)